男:女=1:22のユーウツ

ホッとするというのは俺にはあってはいけないことのようだ。
ひと段落と思うや、今朝は会社を10分遅刻。
おまけに朝から喉が痛い。夕方には声が出なくなる。気を抜くとこれだから……


会社にて。
さらに止めを刺されるような、ホッとさせてくれない社内メール。
新しくチームが編成され社員の人数が倍になるのだが、出し抜けに新メンバー全員宛に送られた課長のメール曰く、「各チームのリーダー指名します。●●チーム:ぽんせ君、リーダーよろしく」。
ぽんせさーん、ご指名ですよぉー。って、トップダウンかいな。ぬうおぉぉぉー。
ま、待ってください。基本的にNOのない自分でも、今回はちょっとカンベンしてほしい。
なぜか。
新しいチームは社員8人のうち、男が1名、女性が7名、つまり男が自分だけなんである。
しかも、アルバイトさん15名(全員女性)を合わせると、何と男:女=1:22!ありえねー!
こういう状況下で自分のような人間がリーダーをやると、ロクなことにならないという確信に近いものがある。正社員の女性7名のうち1名を除いて全員が20代。6名が未婚。しかも半分は入社3年以内……。
これを読んで「ウラヤマシイ」って思った人、いるんでしょうねー。でもね、「ハーレム」なんて甘ったるい響きのモンじゃないのよ、コレ。
遊びならいいかもしれんけど、これで仕事進めにゃあかんのよ。リーダーとして。つらっ!
えーと、女子高に通ってた方がいらっしゃったら思い出してみてください。年の近い男の先生って、けっこういじめられてませんでした?
フェミニストの反発を重々承知でそれでも言う。はっきり言う。俺のような「兄弟船」な男、または「あしたのジョー」な男、または「バケネズミ排斥主義」の男にとって、こういう状況下でのオンナは怖い。とーっても恐ろしい。仕事ができるとかできないとかのレベルを越える。レッドゾーン。
妻子持ちが担当するならまだいいのかもしれない。保険の外交員をまとめる主任さんみたいに。また、階層がキッチリ規定されていれば、うまくできるかもしれない。
が、俺は30過ぎでなお独身。残念ながらサワヤカ系でもイケメンでもない。そして求められているのがプレイングリーダーである。すなわちそこに階層などない。
いやねー、俺自身がアブナイことをするとかじゃーないのよ。何もしません、できません。だいいち、そんなことしてバレたときのほうが何言われるかわかりませんよ。そんなリスクは負いません。小心者の鏡ですから。
本能がビビっときてます。自分の身が危険なんです。ピピーッ。お下がりくださーい。まもなくつぶれます。つぶされます。あー。むなしくなりにけり。ぺちゃっ。
この役目、手当てももらわんで引き受けるべきではないです。いや、お金じゃなくていいんで、せめて側近になる男をたった一人だけでいいんで(できれば「あしたのジョー」について語れる人希望)、ください。


とまあ、一人虚しく抵抗してみたところで、今までに身を置いてきた境遇を回想してみる。


中学〜高校=6年間男子校。男ばっか。ロッカーにはエロ本。カラカラカラン。授業中に回るルーレット。ムサい。クサい。もわー、けっけっけほっ。
大学の専修=男6人、女30人。男はいつも教室のスミに追いやられて小さくなっていた。
初めて就職した会社の事業所=社員は男3人、学生は全員男で20人くらい。女子事務が2名。汗臭い。日々是仏恥義理ド根性論。酒飲んでばっか。
現在の会社=社員アルバイト問わず、女性が多い。事業所に延べ200人くらいのメンバーがいるが、独身の男性正社員はかろうじて麻雀を打てる人数しかいない。


こう考えてみると、何だか極端な男女比のところでばっか生活してきたんだなあ、俺。
まともだったのは大学のサークルくらいなもんだ。
もしかしたら上記のような環境で生きてきたのが、本能的な恐怖心を生んでるのかもしれん。


そんなわけで、メールを見て血の気が失せた。風邪のせいではない。もちろん、興奮して鼻血を出すわけもない。
カンベンしてくださいよ〜と、ナサケナイメールを課長に送ってみた。
「なるほど、そりゃ確かにもし俺がリーダーでも辛いわな。そこまで気づかんかった」
会議の場で気づきましょーよ!
結局一度メンバーで話し合って新しく決めてよいとのお達しが。そのかわり新しいリーダーをきっちりサポートしてやってくれ、と。ホッ。
折れないからね〜。やらないからね〜。どーせ誰も手をあげるやつはいないんだろうけど、情に流されて引き受けたりしないからね〜。ヤ・ダ・ヨ。


とまあ、こんなことをつらつら書いていて思い出したのが、太宰治の未完の絶筆『グッド・バイ』。
戦後まもなくの時代だって、女性は強いです。笑えます。でも、とばっちりの当事者の男にはなりたくないです。つーかいかにもなりそうだし、俺。


おかしいな、今日は『ボクシングマガジン』と『ワールドボクシング』について書こうと思ったんだけど。また明日にでもします。