YAMAHApms発表会

まさかのハプニング。
覚悟を決めたときの「行くしかないぜ」感。
試練を乗り越えたときの充実感、安堵、そしてこみ上げる笑い。


今回でたぶん4回目の出場となるYAMAHApms発表会。
自分がバンドを組むことになったきっかけは2回目に出場したこの発表会。
引っ越しのために残念ながらpmsを辞めなくてはならなくなり、もう今年からは出場できないかななどと考えていたのだが、今年も呼んでいただけて、ドラムをたたくことができた。
いや、ドラムだけのはずだったんだが……


朝、伊豆長岡から新横浜に直接向かう。会場に着くや、衝撃の事実を伝えられる。
え、ギター&ボーカルのOさんがインフルエンザで倒れた?? 今日は出場できないって??
そういえばさっきギターのOJとすれ違った時、いつも笑ってばかりのOJが追い込まれたような真剣な顔をしてたっけ。
どうもOさんの担当だった曲を、他のメンバーで急遽カバーしようということらしい。
で、俺の担当する曲の中では……今回の間違いなく目玉、「ギンギラギンにさりげなく」の不動のボーカルは、紛れもなくOさんである。


さて、ギンギラはどうするよ?
もちろんボーカル専門の人間がいいのだろう。コーラスの女性2人にお願いするのもアリだが、この曲であの可笑しさを表現するには、2名のコーラスは欠かせない。
では別のボーカル科の方にお願いするか? しかしいくら発表会とはいえ、一度もメンバーと合わせていない曲をいきなり歌うってのはどうだ? 進行も覚束ないだろうし。
ここで、昨年の発表会を思い出す。そう、俺は1曲だけ、ドラム兼ボーカルを担当した。ブルーハーツの「青空」。ボーカルは専門ではないが、我ながら上出来だったと思う。
とすれば……俺がマッチになるしかない。
「俺、やってみるよ。リハで1回だけやってみて、無理そうだったらボーカル科の先生にでも頼んでみよう」


リハの結果、「全然いけるじゃーん!」のコーラス2名の声に押され、急遽ボーカルを担当することが確定。それでも歌詞は間違えるし、お客様の前で見せることのできるレベルかどうか……


いざ本番。「ボーカル、ドラムス、ぽんせ!」のメンバー紹介。苦笑いを挟んでカウントを打つ。OJのギターが唸る。前奏でスティックを回す予定だったんだけど、それどころじゃない(笑)フィルが掠る。ああ、もうすぐ歌詞入るよ。ええいもう、こうなりゃ腹から声出しちまえ!!
お客さんのほうを見ている余裕がない。あれ、でもお客さんから「マッチー!」の声が。ノッてくれてる。いけ、いけ!
転調後は息がなかなかツラい。ああ、ボーカルさん、いつも大変ですね。それでも歌い切る。歌詞の最後に出たのは「アーオッ!」という雄たけび。
曲の最後のキメはベース・ギター・ドラムがバッチリ決まり、これ以上ない終了。クラッシュを3度叩き、曲が終わる。


何だよ、この盛り上がりは。発表会か、これ? たかだか発表会だよ? もうこれ、ライブじゃん!
前列のお客さんから起こるマッチコール。コーラスとドラムセット越しにハイタッチ。最高だ。
OJが言う。「新横浜・新宿関係のこれまでの発表会、そんなに多くはないですが、その中だけでいうと、間違いなく、『史上最高の盛り上がり』(笑)」。
この曲を選曲したOJ、さすが。
そしてこんな小恥ずかしい曲をメジャーにした筒美京平は、音の外れたボーカルで歌い上げた近藤真彦は、もちろんすごい。


もちろん、ギンギラだけじゃなかった。その他の3曲も何とか、満足とはいかないまでもまとまった演奏にはなったと思う。
実は先週はつらかった。我が社は祭日が仕事のうえ、先週は月曜日から土曜日まで休みなし。地理的なハンデもあって他のメンバーとの音合わせができない。本当はもう少し音を合わせてから本番を迎えたかった練習生もたくさんいたはず。リズム隊に穴が空いては、音合わせにはならない。
しかも残業が続き、なかなか個人でスタジオに入ることもできなかった。ようやく時間を作って入った個人練習では、ペダルの調整がうまくいかず、細かい16ビートの連打が刻めなかった。焦りと不甲斐なさから、思わず一人スタジオでスティックを床に叩きつけたりもした。
そんな悪い条件の中で迎えた発表会。何よりもうれしかったのは、一緒に曲を演奏したさまざまなメンバーから、曲が終わってから「とても歌いやすかった!」「弾きやすかった!」「本番が今まででいちばんよかった!」と言ってもらえたこと。
こういう言葉を聞けた時は、本当にドラマー冥利に尽きます。
音楽をはじめた当初って、自己顕示欲の発散でしかなかったのかもしれない。でも今は、いかに他のメンバーが歌いやすく、演奏しやすくできるのかを考えるようになったと思う。そしてお客さんが心地よいと感じてくれること。これ以上の幸せはない。


とくに今回担当した曲は、どれも自分の表現の幅が広がる曲だったなと思う。「キラーチューン」では自由にビートを表現することの楽しさを実感できたし、「キセキ」では細かい16ビートのフットワークの刻み方、「B'Coz I Love You」では速いテンポでハイハットを細かく刻み方にまだまだ課題があることを実感した。
でも、本番みんなでまとまった演奏を提供できたのは、曲を通じて知り合った中学生から年配の方まで、幅広い音楽好きのメンバーがいたから。みんなが笑顔になれる瞬間が、たまらなく好きだからだ。


昨日のギンギラの音源を、今晩何度もリピートしている。リピートしながら、何度もこみ上げる笑い。
俺の葬式には、この音源をかけてもらいたいなあ(笑)
心地よい疲れ。その疲れを、今晩はもう少し噛みしめながら床に就きたいと思います。
発表会を通じて知り合ったすべての人たちに、そして、発表会を運営してくれているスタッフの方々に、感謝です。


ぽんせの今後のライブ出演予定
・9/4(金) 三島(テンパ〜ず・Vo.)
・12/10(土) 表参道(OZON・Vo.)
・12/17(土) 六本木(テンパ〜ず・Vo.)

何と3つ目のバンドに加入してしまいました……先日六本木でタイバン&1曲だけVo.を共演したOZONに、正式に加入です。
でも、ホントはもうちょいドラムでステージに立ちたいんですけどね。。。