おばあさんの本屋

2005/9/27 0:20
仕事。今日は22時前にあがれたんだけど、飲まずに帰宅。
今日は(も)深夜まで起きて、タツキさんのドキュメント見ないと。

去年の12月に今の家に引っ越してきたが、
そのとき、「ああ、この場所いいな」と思った理由のひとつが、
隣の本屋の佇まいだった。
長方形型の狭い店内に雑誌が並べられている。
大型店のように何本も通路があるわけではない。
ぐるっとひと回りでおしまい、そんな本屋だ。
入り口の小さなカウンターでひとり、おばあさんが静かに店番をしていた。
晴れた日の縁側で、うとうとしながら裁縫をするおばあさんのようだった。

おばあさんは俺が朝会社に行くときから、そのカウンターの椅子に腰をかけて、
下を向いて静かに店番をしていた。
朝のおばあさん。
俺がたまに22時頃に帰る日があると、店にはまだ灯りがついていて、
やはり下を向いて静かに店番をしていた。
夜のおばあさん。
時間が止まっているかのような光景。

数日前の朝、本屋に目をやると、
店の入り口近くに並べられていたはずの雑誌が、棚から消えていた。
おばあさんは相変わらず、下を向いて静かに店番をしていた。
そして次の日、本屋から雑誌の山が持ち出されていた。
今日、帰りに本屋の前を通ると、
閉ざされた扉の向こうには、長方形の殺風景な部屋があるだけだった。

俺は写真があまり好きではない。
でも、この本屋とおばあさんの光景は、
セピア色のフィルムに撮っておきたかった、そう思った。

本屋と一緒に、おばあさんも遠い国へ行ってしまったような気がして、
何だか妙に、切ない。