「の」活動報告&新年会のお知らせ

みなさま年明けの日々いかがお過ごしでしょうか?
ワタクシはというと、近年まれにみる寝正月となりました。寝る、温泉入る、また寝る……
その傍らで、三が日は毎日スタジオで個人練習。記事のとおり、深夜にYouTubeのアップ作業なんぞもしておりました。


今日から仕事の方も多かったでしょうね。おつかれさまです。
自分も明日から仕事。軽くサザエさん症候群です。


ところで、我らがバンド「の」の活動報告をひとつ。
実は3日に箱根で駅伝を観戦してまいりました。通過タイムが測られる箱根・小涌園前で、6区の復路を観戦です。
前夜、あまったB4版譜面コピーの裏に、極太マジックで「の」と記しました。これを持って、沿道へ。
自分の位置どりは、小涌園ホテルの入り口とは逆側の、テレビカメラ側の沿道。ああしまった、こっちにカメラがあるってことは、ホテル入口側の沿道が映されるってことか。
案の定、高台のカメラからは、向かい側の小涌園のかわいらしいマスコットキャラクター(スパコネコというらしいです)を映しているようです。このマスコット、2体いるのですが、兄弟かと思いきや「ボクとカノジョ」という設定のようです。コノヤロー! 「の」魂がメラメラと熱く燃え上がります。
こうなったら作戦変更です。選手が通過した直後、中継車が選手を前方から映すタイミングを狙います。
選手が通過したら、先週の背中側(中継車のカメラ)に向かって「の」を広げます。もちろん声は「んのぉ〜〜〜〜〜!!」です。


トップの東洋大学が来ました。


「東洋、がんばれー」(←沿道の観客)
「東洋、んのぉ〜〜〜〜〜!!」(←オレ)


……かなり恥ずかしいです。寒さのせいか恥ずかしさのせいか、ライブのときのあの声が出ません。


「山梨、んのぉ〜〜〜〜!!」
「中央、のぉ〜〜〜!」
「明治、の〜〜〜」
「早稲田、の〜〜」


……テンションが下がってきました。Oh、No!!
というか、新年を迎えた晴れやかな観衆のなかで何をやってるんでしょうか、自分は。


たまたまテレビ中継で見ていた妹に確認したところ、「の」は微塵も映っていなかったようでした。


今回の敗因を考えてみます。


・位置取りに失敗
 →マスコットキャラクターの隣に陣取るべきでした。
・「の」が小さい
 →B4の紙では小さいです。せっかく持参していたシンバルケースにでっかく「の」と記すべきでした。
・気持ちが小さい
 →周囲の温かさに動じない精神力が不足しておりました。


来年のリベンジは……考えておきます(笑)


そんな「の」ですが、新年会を行なうことになりました。
1月10日(日)18時〜、御茶ノ水で行ないます。お店はまだ未定です。
メンバーだけではなく、これまでにライブを観にきてくれたお客様もぜひご一緒にと考えております。
このページをご覧になった方、ぜひ管理人までお知らせくださいませ。
もちろん、乾杯の発声は、


「んのぉ〜〜〜〜〜!!」


で行きたいと思います。箱根の分まで声高らかに叫びたいと思います。

謹賀新年

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
年末に飲みすぎて、大晦日と元旦はあんまりお酒が入らなくなってきました(笑)
晦日に実家に帰ってからはほんまにだらだらと……食う→寝る→食う→寝るの繰り返し。
これはいかん! と思い、夜から下北沢のスタジオに2時間ばかり入ってきました。
お年玉にもなりませんが、せっかくの貴重な時間、YouTubeのアップロードに挑戦してみました。
そんなわけで、12月に行なった2本のライブの一部をアップしてみましたんで、ご興味のある方はぜひご覧ください。
○2009年12月12日(土) の@表参道ラ・パン・エアロ
・MC(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=YsXpTIGgGlY
・Drum Solo〜Yesterday
http://www.youtube.com/watch?v=uyoffW3C1W4
・Guitar&Bass Duo
http://www.youtube.com/watch?v=jwGzr6UHVjQ
・Shy Boy
http://www.youtube.com/watch?v=BbrpRmjbRQM
○2009年12月19日(土) テンパ〜ず@六本木Club Edge
・MC〜iiatama
http://www.youtube.com/watch?v=jMKh8qCDy-k
・kaba-dhi
http://www.youtube.com/watch?v=589YnxxMyYE
アンパンマンのマーチ
http://www.youtube.com/watch?v=NIHvvi9JHs8
・キーストン
http://www.youtube.com/watch?v=HU3u9QiwOdk
今年はフロントマンとしてもドラマーとしても、昨年以上にがんばっていきたいと思います。
みなさんどうぞよろしくお願いいたします!

Session Impossible??

先週、今週と提案営業で全国を飛び回っております。
先々週は新潟〜東京〜大阪〜神戸〜松山、先週は東京〜埼玉〜高松〜大阪といった具合です。
年の瀬は、どんな仕事を担当していてもなぜか例年忙しいのが常です。そんな中、六本木でライブがあったりもしましたね。
そして本日は再び新潟へ。今日は雪は降っていませんでしたが、やっぱりしばれます。トイレが近い近い。。。


そんな仕事の合間を縫って、時間を見つけて会社のライブやドラムの個人練習をしていたりします。
本日は新潟からの出張帰りに、三島のバーでセッションに参加。
先日亡くなったドラムの先生が愛用していたドラムセットが、そこにはありました。


ドラムの先生に誘われて参加し始めたこのセッション、今回が2回目です……が、参加者のレベルが半端ない。。。
東京の某有名ミュージック・スクールの方々が来られるのですが、いやあもう、レベルが違います。
そんな中、萎縮しながらドラムセットに座ります。今日はまずPINK FROYD(?)と、DEEP PURPLEの「SMOKE ON THE WATER」の2曲。
原曲を聴きこんでいるわけではなく、とくにPINK FROYDは名前しか知らないので、曲の展開すらままなりません。基本リズムを一緒に組んだ方々に確認してから、叩きます。
いやあ、こういうとっさのときに、これまでに習ってきた技術を出すっていうのは難しい!
引き出しのなさを痛感させられます。基本リズムしか刻めません。


そして、「終電前にもう1曲叩いていきなよ」というマスターの言葉もあって、もう1曲。
え、はあ、シャ、シャッフルですか。
必死にマライヤ・キャリーの「ALL I WANT FOR CHRISTMAS IS YOU」のビートを思い出します。いや、叩くのは未知の曲なんですが。スタート。あかん……全然シャッフルっぽくないっ!!
それでも不思議なのは、上手い方々と合わせると次第に自分の体が動いちゃうんですよね。おいドラマー、いいのかそれでー! って感じですが(笑)
最後は非常に気分よく叩くことができました。シャッフル、楽しい! メンバーの方、ありがとうございます。


お世辞でもうれしかったのは、先生の弟さんが最後に「素晴らしい!」って言ってくださったこと。先生同様、プロドラマーの弟さん。僕の演奏など取るに足らないことは重々承知しています。まだまだ修行が足りません。先生に習ったことはまったく使えなかったのですが、少しでも先生に教えてもらった8ヶ月が音になっていたでしょうか? 先生が少しでも、降りてきていたでしょうか?


驚いたのは亡くなった先生のドラムセットの音。とくにバスドラのあの音の抜け方はすごい……軽いキックで、スコーンと抜ける非常にタイトなビートが刻めます。タムの響きも、叩いてるこっちが聞き入りたくなるようなチューニングで。欲しいです、コレ(笑)改めて偉大な先生だったことを実感しました。


実は明後日もセッションに参加します。かなり有名なギタリストの方がいらっしゃるのだとか。これも「自分でいいのか?」という感じなのですが、「ドラマーが少ないからぜひ叩いてよ」という主催者様のお言葉に甘えて、参加します。
12月のライブは2回ともボーカルでしたが、そう、自分はもともとドラマーだったんだとようやく思い出してきました(笑)


年末年始は会社のライブに向けてドラムの練習しなきゃならんですね。レベッカポルノグラフィティスピッツ鬼束ちひろ……などなど。
でもいい曲が多いので、実は楽しみだったりしますね。
チャイナシンバルを背負って、ガメラのような恰好で、東海道線に乗って帰省します。

OJ presents:sound rotation vol.4

12/19(土)、「テンパ〜ず」のライブをご覧いただいた皆様、本当にありがとうございました。
2009年のバンド活動を、これで無事に終わらせることができました。
これもひとえに、応援してくださる方々、会場に足を運んでくださる方々のおかげかと思います。
今年1年分の思いをこめて、この場を借りまして感謝の思いをお伝えさせていただきます。


これまでMAX20分のステージだった「テンパ〜ず」ですが、いやはや、予想通り50分はきつかったです(笑)
というかですね、1曲目の「iiatama」でめっちゃ消耗します(笑)
おかげで「Fantasista」は全然声が出なかったですね。反省。DVDで見直しても、もうほとんど歌になってなくて……いかんわ、体力つけないと。


ご覧いただいたさまざまな方から感想をいただきました。
よくあそこまで跳べますねとか、次回は開脚で跳んでほしいとか……って、俺はマイケル・モンローじゃないんだからさ。。。
よかった曲で挙げてくださったのが「kaba-dhi」「AMENIMOMAKEZ」「Cisco」「アンパンマンのマーチ」「キーストン」と、結構割れていて、この反応は狙い通り、「テンパ〜ず」の真骨頂だったかなって思っています。
以前も書きましたが、「テンパ〜ず」というバンドはそのときどきの喜怒哀楽に左右される生き方がむしろ当然であり、よしとすることを表現するバンドでありたいと思っていて、そういう意味では楽しい曲からしんみりした曲までがまんべんなく評価されたのはうれしいですね。
また、オリジナルに特徴があるバンドでもあるので、「テンパ〜ず」でしか聴けない部分を評価してくださったのもとてもうれしいです。


○12/19(土) 「テンパ〜ず」@六本木clubEdge

セットリスト

1.MC+Tears In Heaven【Eric Clapton

2.iiatama【original】

3.Shy Boy【David Lee Roth

4.kaba-dhi【original】

5.Guitar&Bass Duo

6.Fantasista【Dragon Ash

7.AMENIMOMAKEZ【Tha Blue Herb

8.Drum solo〜Bass Duo〜Guitar Duo

9.Cisco(She's Gone)【Thee Michelle Gun Elephant

10.アンパンマンのマーチ

11.キーストン【original】

(アンコール)

12.みかんの歌【Sex Machineguns


昨日のライブでは、2番目の登場だったことと、先にお客様と打ち上げを行なってしまったことで、ほかのバンドさんのステージを観ることができなかったのがちょっと心残りでした。
とくに4番目のRoneさんのステージがとってもよかったと伺っていて、見逃したのがくやしいなあと感じています。
改めて、別のライブのときには足を運んでみたいなあと思っています。
Roneさん、リハのときに他のバンドのメンバー全員に「うまい棒」を配っていらっしゃいました。ああいう心遣いができる方、とても素敵だと思います。


今年1年間、バンド仲間を通じてさまざまな楽曲、そして素敵な人たちに出会うことができました。
表現することの楽しさにやみつきになりました。
来年も音楽活動を続けながら、歩みを進めていきたいと思っています。


【ぽんせ・今後のライブの予定】

日時:1/8(金)

会場:会社のライブなのでヒミツ。知りたい方は直接ぽんせまで。

出演バンド:3バンド

曲数:Dr.4曲、Vo.4曲予定


日時:6/19(土)

会場:WildSide新宿

http://ws-tokyo.com/

出演バンド名:新横浜倶楽部(Dr.)


先週の火曜日以来、久しぶりに伊豆の自宅に帰ったら、家の電気がつけっぱなしになっててビビったわ。これってもしや地震のせい??

12/12(土)仮マックスライブVOL.9

今回も、ご来場いただいた方々に心から感謝をいたします。
「の」を観に来ていただいた方、本当にありがとうございました。


というか、持ち時間の45分より大幅に早く終わっちゃって、スミマセンでした(笑)


昨日は大学時代の仲間たちが多く駆けつけてくれました。さながら同窓会のようで。卒業してすでに15年。中には久しぶりにはち合わせた人もいたようで、ライブ後の食事も盛り上がったんじゃないかなーなどと思っています。
そんな橋渡しができるのも、ライブのひとつの魅力なのかもしれないなあ、などと考えました。
また、取引先さんで足を運んでくださった方、お忙しい中わざわざご足労いただいて大変恐縮でした。しかし、あの暴れる自分の姿を見たら今後……お願いですからこれからもふつうに仕事してください(笑)


本当にありがたいことに、「巧い」「モチベーションが高い」という感想を今回たくさんいただきましたが、その中に「いい表情をしている」という感想がありました。
そうなんだよね、ライブ中やライブ直後って、普段では作ることのできない顔になっているなあって、実は昨日ステージが終わってからお客様とお話しているときに、感じました。この表情は、どうしても仕事ではできません。
解放というのか、解脱というのか、エクスタシーというのか。
それは、「音」という、「仕事」よりも原初的な要素を介して成り立っている仲間たち、ピュアな心で一緒に汗を流して成長してきた、安心できるメンバーたちがいるからこそ感じられるものではないか、そんなふうに思います。
ギターが飲み会でも、酔っ払って送ってきたメールでも、「俺はよ、のは最高だと思うんだよ! やってて楽しいんだよ! これからもこのメンバーでやっていきたいんだよ!」――そう力説してました。
どういうわけかボーカルに誘われ、「の」のフロントマンを任されることになった自分ですが、そんなメンバーに恵まれて音楽ができることは、パートが何であるかを問わずに、幸せなことだなあと感じています。
そのとき、俺ができる最大限のこと。それを追求できる幸せ。
みんながそう思い、その思いがひとつになることの大きさ。
技術的なことや、環境面で想定外だった要素はあるにはあったけれど、それを覆すのに十分な充実感と、楽しさの共有。
ライブって、「生きる」なんだな。


○12/12(土) 「の」@表参道ライブスペース・アロ
セットリスト
1.Technical Difficulties(RACER X)
2.Snakebite(RACER X)
(MC)
3.Ain't Talkin' 'bout Love(VAN HALEN
4.Drum Solo〜Yesterday(The Beatles
5.Guitar&Bass Duo
(MC)
6.Burn
7.Shy Boy(David Lee Roth


さて、年内あと1回、今週の土曜日は六本木clubEdgeで「テンパ〜ず」。
こちらは「の」よりもいくぶんシリアスで、問題提起型のバンドだと思っています。
笑ってしまっていては看過ごされがちな部分にスポットを当て、表現し、思いを伝えていくこと。一方でこれも、「生きる」という意味では大事なことなのではないか、俺はそう考えています。
「の」とはまた異なったコアな世界になると思います。こちらもお時間がある方は、ぜひお越しください。


日時:12/19(土)

会場:六本木clubEdge

http://www.club-edge.net/schedule/index.html

出演バンド名:テンパ〜ず(Vo.)

開演:18:00

出演順:2バンド目(19:10〜20:00 予定)

入場料:\1,500+ワンドリンク

他の出演バンド:fumiyo・seven・Rone&The Gravity


今日は三島でドラムを2時間打って、夕方に伊豆長岡に帰ってきてから温泉に行って、昨日の疲れを取ってきました。
今週は出張で新潟〜東京〜大阪・神戸〜松山〜東京、そして土曜日はclubEdge。突っ走ります。


……それにしても俺、昨日何人の人に髪型の写真撮られたんやろな?(笑)


DOKKEN「HEAVEN SENT」

今さらながらYoutubeではまってるPV。このクリップは何度見てもカッコいいんだよなー。
硬質感のある曲調が醸し出す雰囲気がまさに静かな夜で、月が出ていて……
ヘタクソなボーカルをやりながら思う。そうか、ハードロックのボーカルは、こうじゃなきゃいかんのか。なんつって、DON DOKKENみたいな声なんぞ、ふつうじゃ出ませんわな。
DONと確執の話が絶えなかったGEORGE LYNCHのギターも、今になって聴いてみるとちゃんと「チームプレーなギター」だったりする。
うちのバンドのギターが「ギターはあくまでバンドの一部」みたいなことを言っていたんだけど、この曲のギターはまさにバンドの一部なわけで、だからこそこの曲の荘厳な世界を演出できてるんだろうな。


高校生のころ、俺は進学校に通っていた。だけど、まったく勉強なんぞはしていなかった。
何で大学に行かなくちゃいけないのかもわからず、仕方ないので大学を受けた。ベビーブーム世代。そんな奴を受け入れてくれる大学なんぞ、あるわけもなく。
7校を受験して、6敗。最後の合格発表にも可能性はほとんどない。それでも大学まで発表を見に行った。3月だというのに、冷たい雨の降る日。当然、自分の受験番号などそこにはなかった。
革襟付きのコートを着て、また家へととぼとぼ帰った。そのときに、この曲を聴いていた。


「HEAVEN SENT」――神様。


今でも俺の生き方は変わっちゃいない。何のために仕事をしているのか。なぜ自分は働いているのか。会社とは?
長くなった挫折からくる煩悶と苛立ちを抱え、引きずりながら、自分の隣にはいつもいる。音楽というもの。


この曲が収録された「BACK FOR THE ATTACK」が発売されたのは、1987年。DOKKENで最も売れたアルバムだったそうである。
どこか落ち着きがあって、でもサイケデリックなジャケットも、とてもカッコいい。

佐藤よしお ロバよしお

いま、手元に1枚のCDがあります。MARLENA SHAWの「WHO IS THIS BITCH,ANYWAY?」というCDです。
このCDをある方に借りて、3週間になります。どうしてこのCDを借りたのか、それは「サザンの『いとしのエリー』にそっくりな曲が入ってるんだぜ!」とその方に言われたからです。
折しも、今朝最寄りの駅から電車に乗るときに、コンビニで平井堅という人の曲を耳にして、瞬時に「あれ、これってZIGGYのGLORIAのサビにそっくりじゃねえ?」と耳を疑いました。


伊豆に引っ越して、1年以上が過ぎました。
2回目の伊豆暮らしも相性が悪いのかもしれない。新しい土地での新しい生活は、ある事件が起きてからとても孤独なものになりました。桜木町に住んでいたころのように、会社外の人たちとコミュニケーションをとることができない。一人で飲みに行っても、そう簡単に友人もできない。いや、もともと人見知りな性格。桜木町でもそうだった。時間がかかる。会社や仲のいい人からは信じられないと言われるのだけれど、決まった「何か」がなければ、僕の話す言葉は決して上手くはない。気の利いたセリフは僕の口からは出てこない。不器用に、何となく伏し目がちになってしまう。
かといって、家にいれば考えてしまう。何か自分から変えないと。
そんな状況の中、新横浜YAMAHAに引き続いて、今年の3月、ドラムのレッスンに通うことにしたのでした。


そこで初めて、僕にとって友達のような方ができました。
佐藤よしお先生。いや、かの有名なバンド・ビジーフォーでは、ドラマー・ロバよしお。


最初にレッスンに行った時、スタジオに入ると、そこにはエアロスミスのスティーブ・タイラーのような皺の深い顔の先生がいました。異様な雰囲気。自己紹介もままならず、「あのさ、じゃあとりあえず叩いてみて」。
「ふーん」。別段褒めるわけでもなく、けなすわけでもなく。何を話されたのかよく憶えていません。ただ、いかにも言葉遣いが悪い、ガラが悪い。そして、この人、何となくアル中っぽい匂いがする。
そして、わけのわからん変拍子を教えられました。
正直、俺、ここでレッスン受けるの辞めようかなと思いました。いったい何なんだ、この先生は?


それでも、とにかく何かをはじめたくて、とにかく規則的な何かがほしかった俺は、この先生に指導してもらうことにしました。
2回目のレッスンだったか。「君はさ、重心がしっかりしてるんだよ。基本はできてるな。だから、あとは俺が細かい技術を教えていくから」と言われました。
それから、ひたすらダブルストロークの練習。ひと段落すると、フラムの練習をさせられました。
たまに俺のリズムがうまーくはまると、先生は
「そーうです!!!!」
と大声で叫びました。しかも、とても気持ちよさそうに。


ダブルストロークがしっかり叩けるようになってきたころから、先生と自分は打ち解けてきました。バカな話もするようになったし、先生の言っていることも理解できるようになってきました。
しかし、それにしてもルーズというか、ぐうたらというか……スタジオのドアを開けると、たまに横になって寝てたりします。中年太りなのか、下腹はぷくうっと出ています。つうか、どんだけ不摂生なんだ? この人は。


でも、ドラムは巧い。それまでに新横浜で習っていた先生とは異質の巧さがあることに気付きました。スティック捌き、センス。そして、型にはまらないリズム感。
ロック中心だった自分にとって、それは足りないもの、新しい世界を知ることのチャンスなんだと思えるようになりました。


ギロッポンでパイオツのかいでーナオンとシーメーしてさ……」
「士 農 工 商 乞食 ドバン」


先生は僕に刺激的ないろんな話を聞かせてくれました。ビジーフォーで叩いていたころの話、ステージが終わって食事に連れて行かれたらスナックだった話、家の前で女が自殺を図っていた話、自衛隊の訓練の話……笑う時、先生は目を見開いて大げさに笑いました。
ときには、レッスンそっちのけで1時間雑談を聞かせてくれることもありました。その世界のおもしろさに、俺はどんどん引き込まれて行きました。
しかし、ときには、
「なあ、俺たち大人ってのはさあ、やっぱりこれからの人間にさ、俺たちが知ったことを教えていかないといけないんだよな」
そんなふうに先生が言っていたことがあります。そのときの先生の眼は、真剣でした。


3ヶ月前のこと、先生は俺をセッションに誘ってくれました。
「東京から三島にさ、1ヶ月に1回、相当巧い連中が来るんだよ。勉強にもなるし、おいで」
1度だけ、参加させてもらいました。レベルが半端ない……そんな中で、俺も他の人と合わせました。即興で曲をやったんだけど、俺は緊張で8ビートしか踏めず、挙句の果てに1ではなく3のところでクラッシュをたたいている始末。リズムをキープするのがやっと。
そんな俺を見て、「でもさ、お前リズムが狂わねえんだよね。ドラマーとして、いちばん大事なことじゃんか」。バーのカウンターに腰かけていた先生が俺に、そう言ってくれました。


ここ1ヶ月、先生は俺にビデオやCDを貸してくれるようになりました。スティーブ・ガットのビデオを見て、なるほどー、先生はガット様の影響が大きいんだなーとか、ジャズドラマーってすげえんだなーとか、聴くたび新鮮でした。
レッスンでもほめてもらえることが多くなりました。3週間前だったか、「もう充分に巧いよ。そんじょそこらのドラマーには負けねえはず」、そう言ってもらえたのがとてもうれしくて、その言葉を何度も頭の中で反芻しました。


そんな先生が、昨晩自宅で遺体で発見されました。
プロドラマー・佐藤よしお。享年54歳。


奇しくも、俺は先生の指導を受けた最後の生徒になってしまいました。
先週の火曜日のレッスン、流れの中で今まで習ったことをいろいろ試してみようぜ、先生はそう言いました。
今までに習ったフラム、ハイハットとスネアのコンビネーション、ダブルストロークロールを使ってフィルを入れる。
まるで予定調和の流れの終末にあるような、その指導が最後でした。
いつもはレッスンが終わったら外に出て、一緒に煙草を吸ってから帰るのに、この日先生は俺にこう言いました。


「俺、もう少しスタジオにいるからさ、今日は先に帰ってて」


この日の夜以来、先生を見かけた人は、今のところ誰もいないようです。


酒を浴びるように飲んでいた先生は、肝硬変でした。中年太りのように見えた腹も、アル中っぽい匂いも、そのせいでした。
いま思えば、レッスンの前に寝ていたのも、体調がすぐれなかったからなんでしょう。
「俺、今は酒飲めないんだよねー。酒飲むのやめたらさ、友達が絶対飲むなって電話かけてきてさ、かわりにキモチよくなるモノ仕入れとくからよォとかいいやがってさあ。いいんだか悪いんだか……ま、ミュージシャンだからねえ」
そんな話を一度聞いたことがあります。セッションを行なっているバーのマスターや常連さんの話では、酒飲みで、女好きで、やりたい放題生きてきた、そんな先生。天国で、ああこれで酒飲めるって今頃飲んでるよ、なんて。


だけど先生、俺、もう少し先生の武勇伝を聞きたかったよ。だって、他にもたくさん、おもしろそうな話がありそうだったじゃんかよ。
先生の持ってる技術ってやつをもっと教えてもらいたかったよ。そして、俺がフラムやダブルストロークを難なく使いこなして叩いてる姿を、見せたかったよ。
先生の好きな音楽だって、もっと知ってみたかったよ。
こっちに引っ越して、はじめてできた友達と、たった9ヶ月間の付き合いで終わりかい? まだCDも返してないじゃんか! 俺にとっては、早すぎるんだよ!


でも俺、これから先生に教わった技術、ステージで使いこなせるように練習するよ。佐藤よしお、伝家の宝刀をモノにするよ。
こんなへたくそな、最後の弟子なんてのがふさわしくない出来の悪い生徒で、ごめんね。でも俺、がんばるよ。
最後のレッスンで少しだけ教えてもらったポルノグラフィティの「アゲハ蝶」のウラ打ち、まずは来年の1月に正確に叩いてみせるぜ。
天国にビート、届かせるんだ。先生の酒がぐいぐい進む、気持ちいいビートをさ。


ありがとう。佐藤よしお先生。ロバよしおさん。先生のことだもんな、天国でも楽しいリズム&ビート人生だよね、きっと。


【通夜・告別式のご案内】
佐藤よしお先生は一人暮らし、お母さまはすでに施設に入所されており、弟さんは東京暮らし。近所付き合いもほとんどなく、知っている方もあまりいないのではないかということです。
三島・オレンジ村楽器店の店長さんとお話をして、佐藤よしお先生の葬儀には、できるだけ多くの方にいらしていただきたいというお話になり、この場を借りまして通夜・告別式のご案内をさせていただきます。
もし先生のお知り合いの方がご覧になられましたら、足を運んでいただけましたら幸いです。


・通夜
2009年11月27日(金) 18時より セレモニーホール三島平安会館にて

・告別式
2009年11月28日(土) 11時より セレモニーホール三島平安会館にて

↓セレモニーホール三島平安会館の地図
http://navishizu.com/055-999-2000/